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ひと夏の恋……そして……
第7章 揺れ動く私の心
「でも、本当に身体は大丈夫なの?もう出歩いて平気?」
「うん。熱も下がったし、食欲も普通にあるから大丈夫だよ。それに今は夜だから出歩くぐらいは平気だよ」
寝込んでいる時はほとんど何も食べなかったと聞いていたから、食欲もあると聞いて安心した。
それに、ベッドの上に横になっている時のような辛さはないようだし、和泉が言っている言葉は強がっているわけじゃないと分かった。
「真緒の体調が良いなら少し歩かない?ずっと寝てて身体がバキバキなんだよね」
「私も歩きたい。ずっと布団の中だったから寝れなくてゴロゴロしてたところだったんだ」
「じゃあ、歩こうか」
その言葉で夜の散歩が始まった。
夜になれば昼間のうだるような暑さも嘘のように涼しくなる。
この涼しさなら和泉の身体に負担もかからないだろうと安心して歩くことができた。
お互いに何も話さず砂浜を歩くと、あれだけ賑わっていた海辺も静まり返り波の音が心地よく感じる。