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ひと夏の恋……そして……
第7章 揺れ動く私の心
「今日は星がきれいだね」
空を見上げれば和泉の言う通り、我先にと競い合っているかのように幾万という星たちが瞬いていた。
「慣れって怖いね」
「どういうこと?」
「うん。前も思ったんだけどね、この島に来た当時は今の和泉みたいにこの星空がきれだと思って毎日見上げてたんだ。だけどいつの間にか見上げなくなってた。輝いているのが当たり前になって、きれだなって思うことがなくなってた。こんなにきれいなのにね」
ここに来た当時は毎日のように夜空を眺めて都会とは違う自然を満喫していたのに、今では空を見上げることも少なくなったし、美しい自然を見てもきれいだと感激することもなくなった。
「それだけ真緒がこの島に馴染んでるってことなんだろうね」
その言葉は私にとってはうれしい言葉だった。
自分の家よりも叔母さんの家の方が本当の家のように思えるし、人だってこの島の人たちの方が優しくて私は好きだった。