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ひと夏の恋……そして……
第7章 揺れ動く私の心
「親の期待って重いよね。親は良かれと思って色々してくれるけど、当の本人にしてみれば迷惑でしかない。それが重圧となり苦しんでいることも理解してくれない。その重圧が積み重なれば壊れてしまうか逃げてしまうしかない。一度逃げてしまえば戻りたくないと思うのが当然で当たり前の願い――真緒ならきっと大丈夫だよ。手助けをしてくれる人たちがいるからきっと大丈夫」
何度も大丈夫だと言われれば大丈夫だと思えてくるから不思議だ。
私の未来が大きく広がっていく気がしてうれしくなる。
「和泉、ありがとう。和泉の言葉で勇気がでてきたよ。私の未来だもんね。親の言いなりになんてならないよ、私はっ」
「うん、それでいいんじゃないかな。自由になれる可能性が少しでもあるのなら自由に生きればいい。真緒は自由で笑っているほうが可愛いからね」
さらっと可愛いという和泉に目を見開くと、和泉はフッと優しく微笑んで私の手と取った。
「もう少し歩こうか」
「……うん」
手を繋がれたのが恥ずかしくて下を向いたまま歩き出した。
ザクザクッと砂を踏みしめる音と、ザザザーっと押し寄せては引いていく波の音だけを耳にしながら何も喋ることなく1時間程散歩した。