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ひと夏の恋……そして……
第7章 揺れ動く私の心
「遅い時間だけど明日も誘っていいかな?」
一度も離れることのなかった手を離す前に和泉は遠慮がちに聞いてきたけど、断る理由はなかった。
「うん。遅い時間の方が身体に負担かからないしね。お昼はいつものように絵を描くの?」
「いや、民宿を手伝おうと思ってるんだ。いつまでも何も手伝わずにお世話になるのも申し訳ないし、夏樹が寝込んだ今は僕でも役に立つと思うしね」
「えっ?夏樹が寝込んだ?」
思いもよらない和泉の言葉に驚くと、和泉はしまったと言う顔をした。
「どういうこと?夏樹が寝込んだって!!」
必死に食らいつく私に根負けした和泉が渋々と状況を説明してくれた。
「真緒には言うなって言われてたんだけどね。今朝から熱をだしてね。夏風邪だろうって言われて寝込んでるんだ。おばさんもおじさんも忙しそうにしてるから夏樹が抜けると大変だろうし、もちろん僕に夏樹の代わりは無理だろうけど少しは恩返しになればって思ってね――真緒?」
和泉の話を聞きながら私のせいだと思った。
私の看病をしてくれて、キスをしたくて風邪をひいてるにも関わらずキスをしてしまった。
夏樹に風邪をうつしたのは間違いなく私だ。