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ひと夏の恋……そして……
第7章 揺れ動く私の心
ドアが閉まると共に、夏樹は私の手を引いて抱きしめてきた。
いきなりことで驚いていると、夏樹は私の肩に顔を埋める。

「夏樹?」

「ごめん、和泉が戻るまでこのままでいて」

いつにも増して弱気な夏樹に、心細かったんだろうと思い私も夏樹を抱きしめた。
和泉が戻ってくる数分だったけど、少しでも心細さがなくなればと抱き合っていた。
だけど、トントントンと階段を上る音が耳に入れば、お互いに身体を離して何事もなかったように和泉を迎え入れた。
少し寂しそうにする夏樹が気になったけど、抱き合っている姿を見られたくはなかった。

「分かってるだろうが、和泉も無理するなよ」

お粥を食べながら夏樹は和泉に念を押す。
夏樹が和泉の身体の事を心配する気持ちはわかるけど、そうやって過度に心配されるのが和泉は嫌いだった。

「真緒も気を付けてみてやってくれ。もちろん真緒も病み上がりなんだから無理だけはするなよ」

「もう!人の事は良いから、夏樹は自分の事だけ考えてて!私たちもう行くからね。手伝いが終わった顔出すから、それまで大人しく寝ててよ」

「そっか、もうそんな時間か…」


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