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ひと夏の恋……そして……
第7章 揺れ動く私の心
「えっ?えっ??和泉???」
いきなりの事に戸惑う私に、和泉は笑いなが私から離れた。
「冗談だよ。僕は吸血鬼でもなんでもなく一人の男だよ」
目を見開いて驚いている私を見て、クククッと声を殺して笑う和泉にからかわれたんだと分かり、ドンと肩を押しのけた。
「ごめんごめん。真緒が真剣に聞き入ってたからついからかいたくなっちゃった」
悪びれもせずに笑う和泉の胸を何度もたたきながら頬を膨らませる。
本気で怒っているわけではないけど、真剣な和泉の表情に少しでもドキドキした自分が恥ずかしかった。
「本当にごめん。それに――案外と本気だったりもするよ」
胸をたたく手を取られてそんなことを言われた。
どこが本気なのかと首を傾げると、今まで笑っていた顔を固くして、ジッと私を見つめてくる。
「もし、僕が吸血鬼なら真緒は殺さない。永遠に僕のものにしたいって思う。本当は首筋にじゃなくて違うところに噛みつきたいんだけどね」
和泉の言っている意味がますます分からなくなって目をパチクリさせる。
そんな私に微笑んだ和泉は、手を離して私の唇をなぞった。