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ひと夏の恋……そして……
第7章 揺れ動く私の心
「ここに噛みつきたいんだって言ったら意味は分かるかな?」
その言葉で意味が分からないと答えるには無理がある。
恥ずかしくて和泉から視線を外そうとすると、直ぐに頬に手をあてられて背けることができなかった。
「僕は本気だよ。冗談でもなんでもない――本気で真緒が欲しんだ。」
遠まわしだった言葉からストレートな言葉に変わる。
こんなにもはっきりと言葉にされたことがない私は、それだけでドキドキして変に和泉を意識する。
「……真緒、好きだよ。」
さらなる言葉にキュンと心が躍った。
今まで誰にも言われなかった言葉。
そうなのかもしれないと思うような態度はあっても、ここまではっきりと言葉にしてはくれなかった夏樹。
悪いとは思いながら和泉と夏樹を比べてしまう。
「大学で夏樹から真緒の話をよく聞いてたんだ。夏だけ島に来る妹みたいな女の子がいるって」
「妹?」
「そうだよ。夏樹夏樹っていつも自分を慕ってくれる妹みたいな子がいるって。どんなにかわいい子なんだろうって気になってた。実際にあってみれば想像していた以上に可愛くて、妹みたいな女の子って言う夏樹が信じられなかったよ。僕だったら妹より彼女にしたいと思ったのにね」