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ひと夏の恋……そして……
第8章 彼との深まる愛

「和泉って将来は画家目指してるの?」

さっき来た道を戻りながら、ずっと聞きたかったことを聞いた。

「目指してはいないかな?絵を描くのはただの趣味だよ」

「え~もったないなよ。あんなに上手なのに」

声を張り上げるほど和泉の絵は素人の私から見ても上手で、趣味程度で終わるのは勿体ない気がした。

「上には上にがいるんだよ。僕のはただの趣味でお金なんて貰えない。それに、趣味だから自由に好きなことを描けるんだ」

その言葉にWirbel(ヴィアベル)のことを思い出していた。
彼らも自由に歌えないからとインディーズで活動することを選んだと夏樹は言っていた。
私はオーディオのスイッチを押してWirbel(ヴィアベル)の曲を流した。

「Wirbel(ヴィアベル)って知ってる?」

「真緒は知ってるの?そのバンド」

驚いた顔をする和泉に、夏樹に聞かせてもらったことを言うと納得してくれた。

「自由に歌えないからってプロになるのを断ったらしいね。和泉も自由に書きたいからプロにはならない、何か似てるね」

正直な気持ちを言葉にすると、和泉は何だか切なそうに目を細めて音を少しだけ上げた。


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