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ひと夏の恋……そして……
第9章 彼と秘密の時間

「ンッ……和泉っ、すきっ」

感極まって言葉にすると、指の動きが止まり目を丸くして私を見てきた。

「えっ?何?私、変な事言った?」

和泉の驚く意味が分からず焦る私に、フッと柔らかく笑う。

「真緒、それは反則だよ。そんな可愛い事言われると優しくできなくなるよ」

「えっ?可愛いと優しくできなくなるの?」

「そうだよ。自分の欲望をすべてぶつけたくなるんだよ。真緒の身体の事とか考えずにね。まだ理性は働いてるけど……男ってそういうモノなんだよ」

初めて聞く男の心理に、いつも和泉に我慢させているのだと知った。

「だったら――我慢しなくていいよ。和泉が抱きたいように抱いてもいいんだよ」

いつも私を優しく抱いてくれる和泉。
たまには和泉の好きなように抱いてほしいと言葉にすると、和泉は少し困った顔をする。

「やっぱり変な事言った?」

和泉に抱かれることに慣れたと言っても、未だに分からないことの方が多い。
初めて聞くことに、初めてする事。
だからいつも正直に聞く。


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