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ひと夏の恋……そして……
第9章 彼と秘密の時間
幽霊というより不審者としてみているのが分かった。
この辺りは空き家が増えて隠れるにはもってこいの場所……
そこまで考えてあることが頭をよぎった。
夜中に聞こえるうめき声、すっと消える人影、そして空き家と考えると答えは一つしかないと嫌な予感しかしない。

「どうしたの?急に黙っちゃって……やっぱり体調悪いんじゃないの?」

黙り込んだ私を心配する叔母さんに、大丈夫だよと言ってその場から離れて素知らぬ顔をしてバイトを続けた。
お昼のお店が閉ると賄も食べずに和泉がいる海辺へと走った。

「和泉!和泉!!」

「どうしたの?そんなに急いで」

慌てて走ってきた私を見て笑いながらペットボトルを渡してくれた。
それを一気に飲み干しナベさんが話してくれた事を伝えると、和泉も私と同じことを思ったのか険しい表情をした。

「やっぱりその幽霊の正体って私たちだよね」

確認するように聞けば、そうだろうねと苦笑いする。
和泉とエッチしているときは極力声を出さないようにしているけど、我慢できなくてエッチな声をあげることもある。
深夜だからと思っていたけど、深夜だからこそ響いていたのかもしれない。


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