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ひと夏の恋……そして……
第9章 彼と秘密の時間

「そういえば、真緒とふたりっきりになることなんて最近なかったな」

考え事をしながら食べていると、何かを思い出したかのように夏樹は言葉にした。
それは和泉が嫌がるから敢えてふたりっきりにならないようにしていた事で、今は店の中だからと安心していた。

「和泉が倒れて真緒に俺って、立て続けにダウンしちまったからな。……中々かまってやれなくてごめんな」

申し訳なさそうに言葉にした夏樹の手が膝の上に乗り足を撫で始めた。
少し前の私だったらドキドキしてキスをせがんだのかもしれない。
だけど今の私は和泉に悪いという感情しか芽生えない。
たった2週間なのに私の気持ちは完全に和泉に向いている。

「体調が戻ってからは民宿の手伝いも増えてさ。夜は和泉も一緒だから真緒とふたりっきりになる時間作れなくて悪いと思ってる。どうにかして時間を作るからもう少し待っててよ」

今正にそのことを考えていた事で、このまま勘違いをさせたままではいけないと思い、和泉との関係を伝える覚悟をする。


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