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ひと夏の恋……そして……
第2章 逃げてきた場所
クローズの札のかかった叔母さんの店のドアを開くと、叔母さんは何も言わずに私を抱きしめた。

「無事でよかった、本当によかった」

何度も同じことを口にしながらギュっと力を込めてくる。
それが苦しくて叔母さんの背中を叩けば気が付いてくれたのか、抱きしめる腕の力が緩んで今度は両頬に手を添えて真っ直ぐ見てくる。
その瞳には涙が浮かんでいた。

「急にいなくなって心配したのよ、どうしていなくなったの?」

叔母さんは責めるわけでもなく優しく聞く。
その問いに答えられないでいると、男性の手が頭に触れた。

「マリさん、すげ~心配してたんだよ。すぐに探しに行きたいのに店があるからいけなくて……だから俺が探しに出たんだけど……マリさん、本当にすげ~心配してたから。それは忘れるなよ」

「叔母さん……」

男性の言葉に涙が溢れてきた。
こんな私でも心配してくれる人がいるんだと分かりうれしかった。

「家で辛い事でもあった?」

ママの性格を良く知っている叔母さんは何かを察したように言葉にする。


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