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ひと夏の恋……そして……
第2章 逃げてきた場所
「……家、出てきたの。もう無理、限界……」
それだけを言葉にして叔母さんにしがみついて子供のように声をあげて泣いた。
涙は止まることなく流れ続けた。
その間に男性が静かに出て行ったのを知らない。
ただ私は、今までの想いを流すかのように泣き続け、泣き止んでも叔母さんは何も聞こうとはしなかった。
何も聞かずに、ただ抱きしめて一緒に眠ってくれた。
それが心地よくて、一度も起きることなく眠ることができた。
目が覚めたのは陽が高くなってから。
窓は開け放たれ、扇風機の風だけが心地よさを運ぶ。
エアコンの中で過ごしてきた身体にはこの暑さは堪えるけれど、流れる汗がなんとも気持ちよく感じた。
布団から起き上がり背伸びをすれば、扇風機の横にある一枚の紙が目に止まる。
『おはよう
店開けなきゃいけないから店にいるわね。
起きたらご飯食べにいらっしゃい
勝手にでかけちゃダメよ』
と書いてあった。
――勝手にでかけちゃだめよ……
また私がどこかに行ってしまわないかと、昨日の夜の事を気にしてるんだろう。