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ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に
「昨日は出かけてないって言ったよな?あれは嘘だったのか?」
威嚇してくる夏樹にしどろもどろで嘘をつく。
「だっ、だから、今朝はたまたま早く起きて散歩をしただけだって。夏樹もそうなんでしょ?暑いから目が覚めちゃうよね」
「そうか……今朝はたまたまなんだ」
「うん。最近、夜寝るのが早くて朝早くに目が覚めるんだよね。バイトが忙しくて疲れてるのかな?叔母さんにも心配されるんだ」
どうにか分かってくれたと思いホッとしながら言葉にする。
「そうか、マリさんにも心配かけてるんだ」
「うん。夏バテしてるんじゃないかって心配されちゃった」
やっと普段の会話ができたとホッとしていると、つかまれていた腕を引かれてドアに背中を押し付けられた。
「よくもそんな嘘がスラスラと口から出るもんだな。バイトが忙しいんじゃなくて和泉と仲良くやってるから寝不足なんじゃないのか?えっ?」
夏樹の口から和泉の名前が出れば、後ろめたさから何も言えなくなった。