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ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に
「嘘がバレてやばいって顔してるな?」
顔は笑っていても目が笑っていない。
私を軽蔑している、そんな感じがした。
「昨日の夜遅くに和泉が家を抜け出すのに気がついてまさかとは思ったよ。どこから借りたのか車まで用意しやがって……行先にはなんとなく予想はついたけどな、それでも間違いであってほしいと思いながらここにきたらお前が出てきて車に乗り込んで――正直裏切られたと思ったよ。お前らにな!」
一部始終をみられていたのならどんな言い訳をしようと誤魔化せないし、全てを分かっていた夏樹に嘘を言っていたと分かれば、夏樹のことを直視できずに視線を下に向けた。
「なぁ、真緒。そんな夜中に和泉とふたりっきりで何してた?車ででかけて人目もつかない場所に行って何してた?」
じりじりと握られている手に力が入り痛くて顔をゆがめる。
「和泉とふたりで何やってたんだって聞いてるんだよ」
絞り出すような言葉に、少しだけ顔を上げると怒りに満ちた視線を向けられていた。
いつも優しく見守ってくれた夏樹にこんな表情をさせたのが自分だと思うと胸が苦しくなる。