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ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に
「俺がいる横で平気でキスをしやがって……あんなところ見せつけられて俺が何も思わないと思ってんのか」
その言葉が昨日のお昼を指していることは嫌でもわかる。
その場面を見られていたから私と和泉の関係に気が付き、夜遅くに家を抜け出す和泉にも気が付いたのだ。
「俺ともキスをしたよな。それ以上のことも、あれは何だったんだ?」
「それは……」
「それは?!」
押し黙る私にイライラしているのが伝わってくる。
それも仕方がないのかもしれない。
お互いにキスをして少し先まで進んだ。
それはお互いに気持ちがあると思っていたから行った行為で、今の夏樹の言葉からは未だに私の事を思っていることが伝わる。
それを裏切ったのは私で、夏樹が怒るのも無理はない。
「ごめん、なさい」
そう思うと謝ることしかできなかった。
ずっと私を傍で支えてくれた夏樹。
あの地獄のような生活から救い出してくれたのも夏樹だった。
そんな夏樹を裏切った私が言えるのは、ごめんの言葉以外なかった。