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ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に

「夏樹のこと……好きだったよ」
「だったらなんでっ!!」
必死に自分の想いを訴えてくる夏樹に、今から言う言葉は残酷だと分かっていても真正面から夏樹を見据えて言葉にする。
「一緒に過ごすうちに、夏樹以上に和泉を好きになったの」
私の言葉に、これ以上ないくらいに目を見開き、そこから涙が零れ落ちた。
それは受け止めるモノもなく地面に落ちて消えた。
「夏樹との関係は曖昧で、そんな時に和泉は言葉で示してくれた。ちゃんと好きだって言ってくれた。それがとてもうれしかった」
「そんな事……でか?」
顔を歪ませながら搾り出すように言葉にする夏樹に、カッとなった。
「そんな事って、大事なことだよ!夏樹は一度だって好きだって言ってくれた?言ってくれたことないよね。それどころか、夏樹は和泉に私の事妹みたいだって説明してたんだよね」
「それはっ」
何かを言葉にしようとして夏樹は視線を私から外して口を閉ざした。

