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ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に

「それを聞いた時ショックだった。夏樹も私と同じ気持ちでいてくれてると思ったから」

「思ってたさ!思ってたからキスもしたし忙しい中時間もつくって真緒との時間を大切にしてきたつもりだ。それは伝わってなかったのか?」

「伝わってたよ。このまま夏樹とつきあうんだと思ってた」

「だったら何で和泉となんか!」

グッとドアに押し付けられた肩が痛くて顔を歪めながら、ずっと私の心に中にくすぶっていた思いを夏樹にぶつけた。

「私の事を毎年夏に遊びに来る妹みたいな子がいるって、そう説明されたって和泉から聞いてショックだった。この島で和泉に私とのことを聞かれた時にも勘繰るなって言う夏樹に失望した。なによりも、彼女だと紹介してくれないから夏樹の気持ちが私に向いているのか分からなくなった」

私の言葉を聞いた夏樹は慌てたように言い訳をする。

「それは言えるわけがないだろう。好きな子が毎年遊びに来るとか恥ずかしくて言えるわけが……」

その言葉をもっと早く聞きたかった。

「それでも言ってほしかった。ちゃんと俺の彼女だって紹介してくれていたら私は――」

そこまで言葉にしてフト頭の中に和泉の顔が浮かんだ。
もし、夏樹が私の事を彼女と紹介していたら和泉と恋人同士にならなかったのかと……

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