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ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に
和泉の事だから、私が夏樹の彼女だと分かっていればつきあうということはしなかったかもしれない。
それでも魅かれあえば同じ道を辿り、ふたりして夏樹を裏切っていたかもしれない。
それに、夏樹の事を傷つけたとしても、和泉と今の関係になった事を後悔していない。
そうはっきりと断言できる今の状況で、もしもの事を口にしても意味はないと最後の言葉を飲み込んだ。
それに、今、伝えなければいけない事はただひとつだけ……
私の気持ちは揺るがないと言うこと。

「夏樹、ごめん。私が好きなのは和泉なの。夏樹じゃない」

きっぱりと断言すると夏樹は力が抜けたかのように私の肩に頭を乗せた。

「もう……俺の入る隙はないって言うのかよ」

弱々しい言葉に胸が苦しくなる。
だけど、ここで嘘を言っても仕方がない。

「うん、ごめん、私は和泉じゃないとダメなの」

私の言葉に夏樹はもう何も言わず、お互いに黙ったまま時間だけが過ぎていった。




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