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ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に

「そこに誰かいるの??」

お互いに黙り込んでいると、お店の中から叔母さんの声が聞こえた。
夏樹がドアを殴った音で起きてきたみたいで警戒している声音だった。
どうしようかと慌てる私と違って夏樹は悲しそうな表情をしたまま立ち去った。
その後ろ姿を見つめるしかできない私は、叔母さんがドアを開けるまで立ち尽くしてたい。

「真緒だったの?どうしたのよ、こんな朝早くに」

「朝早くに目が覚めちゃって散歩に出てたの」

ドアを開けた叔母さんに、夏樹についた嘘と同じ言い訳をした。

「だから夏バテになるのよ。遠慮しないでクーラー入れなさいよ。真緒が倒れたりなんかしたら私が姉さんに怒られるんだから」

私の嘘を信じ込んだ叔母さんは少しだけ小言を言った後に、言葉通りにクーラーを入れてくれた。
部屋が涼しくなっても、瞼を閉じても眠ることができなかった。
元気がない私にバイトが終わっても外に出ることを許してくれず、和泉と会えたのは夜遅くなってからの事だった。


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