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ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に

「夏樹と真緒の関係は何となく気が付いていたよ。というか、夏樹を見ていて真緒に好意を持っているのに気が付いたっていうほうが正しいかな?でも、それが分かった時に僕はもう真緒が好きだったんだ。夏樹は親友だし諦めようと思ったんだけどね。一緒にいる時間が長くなればなるほど想いは膨らんで――真緒にはつらい思いさせちゃったね」
その言葉に静かに頭を横に振りながら、お互いに気持ちが落ち込んでいく。
お互いに大事だと思っていた夏樹を裏切ったことには変わりはないから気持ちがすっきりしないんだろう。
だけど、和泉が好きなのには変わりはない。
「でも、夏樹に嫌われても私は和泉の事が好きだよ。夏樹にもそう言ったよ」
「うん。僕も真緒が好きだよ。夏樹には悪いけどこれだけは譲れない」
和泉の言葉にお互いの気持ちが同じ方向に向いていることが分かりホッとした。
夏樹を傷つけてまでつきあうつもりがないと言われるかもしれないと思っていたから、私と同じ思いでいてくれた和泉の言葉は私に安心感をくれる。

