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ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に

「最近、夏樹ちゃん顔を見せないわね」

お昼の営業も終わりカウンターで賄を食べていると、叔母さんが夏樹が顔を出さないことを心配する。
あれから一度も顔を出さないのだから心配するのは当然だった。

「仕事が忙しいみたいだよ」

「そうなの?今が一番稼ぎ時だからね。夏樹ちゃんの所もご両親が高齢だから夏樹ちゃんが頑張るしかないのよね。この島も、本当にどうなっちゃうんだろうね」

「そんなことを考えてても仕方がないよ。なるようにしかならないんだから」

叔母さんの言葉にソンちゃんはそんなもんだと豪快に笑い、夏樹の話は深く追求されなかった。
その夏樹とはあれから一度も会っていない。
私と会いたくないと思うのは当然で仕方がないと思っている。
和泉は他の民宿に移ってそこに泊まっている。
一度はきちんと話そうと向き合ってくれたけど、夏樹のほうが勝手にすればと和泉を避けているようで、このまま夏樹の家に世話になるわけにもいかないと、偶然にも開いていた民宿に移動した。


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