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ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に

「真緒、これ3番と5番にお願い!」
「は~い!」
開店後から満席になる勢いでお客がどんどん店内に入って大忙しだった。
それは14時を過ぎても変わらず、ソンちゃんと叔母さんは厨房内で汗を拭いながら注文をこなしていた。
さすがにこれ以上は誰も来ないでほしいと願っていると、すごい勢いで扉が開いた。
「あら、夏樹ちゃん久しぶりね」
店内に入ってきたのは夏樹で、叔母さんの言葉に返事をする事もなく店内を見渡し私を見つけると、硬い表情をして私の手をつかんだ。
「夏樹?」
久しぶりにあった夏樹の行動に戸惑っている私にお構いなしで、私の手を掴んだまま店に外に出ようとする。
「夏樹ちゃん?」
夏樹の予期せぬ行動に声を上げた叔母さんに対し、夏樹は切羽詰まったような声を荒げた。
「マリさんごめん。真緒を連れていくから」
「ちょっ、ちょっと夏樹ちゃん?どういうことよ!ちゃんと説明しなさいよ!」
後ろの方では叔母さんの叫び声が聞こえた。
だけどその声に振り替えることなく、私を車に押し込み車は発進する。

