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ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に

「夏樹!これはどういうことよ。ねぇ、説明してってば」
加速する車に、夏樹にしがみ付いて説明を求めた。
だけど夏樹は前を向いたまま険しい顔をしてスピードを上げて車を走らせる。
曲がる時もブレーキをかけないから、慌ててシートベルトをして身体をシートに預けて踏ん張ることしかできなかった。
横目でちらりと見ても、昔みたいに夏樹が私を見ることはない。
ただ険しい顔を崩さずハンドルをさばくだけだった。
「真緒は和泉の事が好きなんだよな」
海岸通りに出て道がまっすぐになると、やっと夏樹が話し始めた。
その問いに素直に答えていいのか分からない。
そのことで仲たがいをしてしまったから素直に言葉にできなかった。
「さっき、あいつが家に顔を出したんだ」
「和泉が?」
和泉も私と同様、夏樹と仲たがいをして会っていないはずだったから驚いて目線を夏樹に向けた。
「ああ。島を出るから挨拶をしに来たと言ってな」
「島を出る?」
予想外の言葉に夏樹の言葉を繰り返すことしかできない。

