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ひと夏の恋……そして……
第2章 逃げてきた場所
「真緒?起きたの?」
今度は下の方から叔母さんの声が聞こえた。
どうして起きたことが分かったのかと考えていると階段を登ってきた叔母さんが顔を出した。
「起きたなら店にいらっしゃいよ……というか手伝って。人手がたりないのよ!」
昨日の夜の事がなかったかのように普通に接する叔母さん。
動こうとしない私の手を引いて階段を駆け下り、私にエプロンを渡した。
「これ、2番のテーブルに出してきて。それと5番テーブルと7番テーブルにお水ね」
いきなりお皿を渡されてもどうすることもできなかった。
「何ぼさっとしてるの?この夏、ここにいるんでしょう?だったら働きなさい!働かざる者食うべからず!」
背中をドンと押されて店の真ん中に放り込まれ、店内の客が一斉に私の方に向く。
こんなに多くの人から注目されることがなく、どうしていいのか分からなかった。