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ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に
「何か言ってよ。和泉!和泉!!」
何も話さない和泉に一方的に私が叫ぶだけで距離は離れていく。
「愛してるって、ずっと一緒にいようって約束したじゃない。今朝だってそう言って抱きしめてくれたじゃない。あれは嘘だったの?和泉!和泉!!」
どんどん離れていく距離に心が苦しくなる。
どうして何も言ってくれないのか、どうしていつものように僕も愛しているといってくれないのか、そんな事を考えながら声を張り上げる。
「和泉、愛してる!愛しているから!!」
「和泉!!何黙ってるんだ!俺から真緒を奪っておきながら黙って行く気かよ。真緒を泣かせるやつはお前だって許さないからな!和泉!!何とか言えよ!!」
あれだけ私と和泉を避けていた夏樹も声を荒げて和泉に訴えかけてくれる。
周りにいる人は何事かと遠巻きに見ているけど、そんなことは気にならないぐらいに声を張り上げ続けた。
「和泉!!何とか言ってよ。このまま別れるなんて嫌だよ。和泉!和泉!!」