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ひと夏の恋……そして……
第11章 甦る記憶と共に
「真和、なつ兄ちゃんと同じ歳なんだって。同じ歳なのにおじさんはかわいそうだよね」
私の言葉に少し頭を悩ませた真和は佐伯さんに名前を聞いた。
そして自分なりに答えを導き出し笑顔で佐伯さんの事を呼ぶ。
「じゃあ、千春兄ちゃんだね」
千春兄ちゃんと呼ばれた佐伯さんは、一瞬驚いた表情を見せたけど、すぐに笑顔になり真和を抱き上げて膝に乗せた。
「私の事を千春兄ちゃんと呼んでくれるのかい?」
「うん。なつ兄ちゃんと同じお歳なら、おじちゃんもお兄ちゃんって呼ばなきゃ。仲間外れはダメだよ。ねっ、ママ」
お兄ちゃんと呼びながらおじちゃんと呼ぶ真和の言葉に笑えば、佐伯さんも同じように思ったのか更に頬を緩ませて笑った。
「僕、何かおかしなこと言った?」
何を笑っているのか分からない真和は首を傾げ、私たちを上目遣いで見てくる。
その仕草が可愛くて、親バカだと言われてもこの世で一番真和が可愛いと思えた。
「おかしなことは言ってないかな。それにありがとう。千春兄ちゃんと呼ばれてうれしいよ」
お礼を言われた真和も満足そうに微笑み、そのまま朝ご飯を食べることにした。