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ひと夏の恋……そして……
第11章 甦る記憶と共に
佐伯さんと真和の歩く後姿をしばらく見守り店内に入ろうとした時、スマホのメロディが鳴った。
その音だけで夏樹だとわかる。

「もしもし?」

『真緒?今大丈夫か?』

「うん。大丈夫だよ」

夏樹の声を聴けば自然と頬が緩み笑みがこぼれる。

「式は終わったの?」

『ああ、今終わったところだ。これから二次会会場に移動するんだけど、お酒が入ったら電話できるか分からないから早いとは思ったけどかけたんだ。だから真緒が出てくれて助かったよ』

「ちょうど真和と戻ってきたところだから平気だよ。それよりどうだった?花嫁さんきれいだった?」

『意外と大人しそうな人で驚いた』

「何それ」

『高校の時の彼女がいつも半端なくてさ。金髪にしてたり、鼻ピアスしてたり、小さいけど刺青をしてた女もいたっけ?そういう子が好きだったはずなのにさ。結婚相手は清楚っていうかそんな感じでみんな驚いた。でも幸せそうに笑ってるふたりを見てたらさ……』

饒舌に話していた言葉が止まり一瞬沈黙ができた。


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