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ひと夏の恋……そして……
第11章 甦る記憶と共に

「どうしたの?」
『あ~~……その、なんだ。幸せそうに笑う花嫁さんみてたらさ。俺の横で幸せそうに笑ってウェディングドレスを着ている真緒が頭に浮かんだんだ。そんな日も近いんだろうなって思うとさ、なんか俺のほうが泣きそうになって――いや、ごめん、今の忘れて』
慌てて否定する夏樹に私の方が泣きそうになり、そこまで考えてくれていることがうれしかった。
「忘れないよ。ちゃんと覚えておくから!!――ちゃんと幸せにしてよね」
『当たり前だろう?俺が真緒も真和も幸せするから。だから、俺の傍でずっと笑っててよ』
「うん、笑ってる。夏樹の傍でずっと笑ってるよ」
お互いに今の思いを口にすれば恥ずかしくて言葉が少なくなり、電話越しの吐息でさえ私の心を搔き乱し、早く夏樹に抱かれたいと言葉にできない想いが沸き起こる。
夏樹と離れて2日目でこんなに夏樹が恋しくなるとは思わなかった。
それ程まで私は夏樹が好きで、和泉に似た佐伯さんが現れても揺るがないことが分かりホッとした。

