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第11章 甦る記憶と共に

「表の看板にもお店自慢と書いてあったね。真和くんがそこまでいうのなら食べるのが楽しみだね」

「絶対、千春兄ちゃんも好きになるよ。ママ！もう食べてもいい？」

早く食べたいと目で訴える真和に頷けば、大きな声でいただきますを言ってハンバーグを食べ始めた。
あれだけ喋り続けていた真和も、今はハンバーグに夢中で私の事も佐伯さんの事を見ようとはしない。
そんな真和を佐伯さんも笑顔で見守ってくれていた。

「私たちも食べましょうか」

「そうですね。真和くんの自慢のハンバーグ楽しみですね」

そう言って、ふたりで手を合わせて食べ始めた。
真和が世界一美味しいというだけあって味には自信がある。
と言っても、これを作ったのはソンちゃんと今は亡き叔母さんで、私はその味を引き継いだだけの事。

「優しい味がしておいしいですね」

佐伯さんは一口食べると、瞼を閉じて何度も何度も頷きながら言葉にする。
それは何かを思い出して噛みしめているような、そんな感じだった。