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ひと夏の恋……そして……
第11章 甦る記憶と共に

「佐伯さんもハンバーグがお好きなんですか?」

「えっ?あ~……そうですね。私にも忘れられないハンバーグがあるんですよ。それに味が少し似ていて、当時の事を少し思い出してしまいました」

私の何気ない問いに、少し寂しそうに笑う佐伯さん。

「お母様の味とかですか?」

「いいえ、母の味ではありません。なんと言いますか……そうですね、青春時代の味、と言ったほうがいいですかね。楽しかった時を思い出すんですよ」

佐伯さんは遠い目をしながら、そう言葉にした。
思い出と言っても、寂しそうな表情は変わらないから良い思い出ではないのかもしれない。
そう思うと申し訳ないことを聞いてしまった思っていると、真和が空になったお皿を突き出してきた。

「ママ!おかわり!もっと食べたい」

いつの間にか皿の上のハンバーグもポテトサラダもきれいになくなっていた。
その元気な姿に少ししんみりしていた空気は払拭され、私も佐伯さんも自然と笑顔になり顔を見合わせて笑った。


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