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ひと夏の恋……そして……
第11章 甦る記憶と共に

「真和と一緒に寝ちゃった」
私の横では、私のシャツを握りしめている真和が気持ちよさそうに眠っていた。
その真和の前髪をかき分けると、んんっと言って転がり、暑いのに丸くなったまま起きることはなかった。
このまま眠ってしまいたいけどそうもいかず、そっと真和の傍から離れた。
一度背伸びをして窓から外を覗くと、そこにはラフな格好をした佐伯さんが海を眺めて立っていた。
海を眺めている佐伯さんは一度空を見上げ、それからそのまま私の方に視線を向けた。
私の姿が目に留まれば屈託なく笑い、窓の真下まで歩いてくる。
「真和くんは寝たんですか?」
「はい。ぐっすり眠っています。佐伯さんは眠れないんですか?」
真和が起きないように声のトーンを落として佐伯さんと話をする。
「波の音を聞いていたら外に出たくなりました。部屋の中も風が通って気持ちがいいですが外はもっと気持ちがいいですね」
「日中は未だに暑いですけど、夜になれば過ごしやすくなったと思いますよ」
話している最中にも心地よい風が吹き抜けていく。

