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ひと夏の恋……そして……
第11章 甦る記憶と共に

「そういえば、今日は色々なところを見て回られたんですか?」

「はい。車で島内を一周してきました。思った通りの素敵なところでした。海は綺麗ですし、住民の皆さんがとにかく優しい。一人で観光に来たと言えばいろいろな場所を進めてくれましたよ。これも全て真緒さんの助言のおかげですね」

「助言?」

いったい何の事が分からず首を傾げると、家の横に止まっている軽自動車を指さした。

「レンタカーでしたので観光客と思ってくれたようで良くしていただきました」

その言葉で佐伯さんの言っている意味が理解できた。
ここに乗り付けたのは誰が見ても一目で分かるほどの高級車。
細い道もあるのでこの島では不向きだと教えれば、次の日の朝には西条さんが軽自動車と入れ替えていた。
ただそれだけの助言のつもりが、レンタカーということで観光客と間違われ歓迎を受けたようだった。
もし黒い高級車で乗り回していたら歓迎もされなかったし、嫌な思いをさせてしまったかもしれない。


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