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ひと夏の恋……そして……
第2章 逃げてきた場所
「悪い奴らじゃないんだけどさぁ。この店内だったらマリさんの目もあるから大丈夫と思うけど外では気をつけなね。真緒ちゃんかわいいから本当にナンパされちゃうよ。自分の身は自分で守らないとな」
夏樹さんは優しく笑ってそんなことを言ってくれたけど、私のどこか可愛いのかさっぱり分からない。
今まで一度も言われたこともないし、いつもブスだの愛嬌がないとか言われ続けてきた私は、夏樹さんの言葉が嘘のようで信じられなかった。
「お世辞はいいですよ……自分のことは自分が良くわかっていますから」
私の言葉に眉をひそめる夏樹さんに苦笑いをしながら厨房に入って洗い物の手伝いを始めた。
表にでるよりは裏で皿洗いなどをやっているほうが性に合っていると思い、率先して裏方を手伝うようにした。
だけど叔母さんは私を表に出したがり、嫌々ながらも接客をするようなった。
毎日やっていると常連客の名前も覚えるし、親しげに話してくれる人もいる。
あれだけ嫌だった接客も日が追うごとに楽しいと思えるようになっていた。