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ひと夏の恋……そして……
第2章 逃げてきた場所

「夏樹ちゃん。時間があったら真緒をどこかに連れて行ってくれない?」

忙しい時間も終わり、カウンターに座って賄いを食べていると叔母さんが夏樹さんに声をかけ、その言葉に焦った私は咽てパスタを口の中から飛ばした。

「大丈夫か?水飲んで!!」

夏樹さんは水を手渡して背中を擦ってくれた。
その手が暖かくて胸が苦しくなる。
だけど、この苦しみが何なのか分からなかった。

「叔母さん、さっきの話」

水を飲んで落ち着いた私は叔母さんに聞いた。
叔母さんは一瞬何の事?と考えて思い出したように夏樹さんにまたお願いする。

「そうそう。真緒をどこかに連れて行って欲しいって話しね。こっちにきてどこにも行ってないでしょう?だから夏樹ちゃんにお願いしたいの。明るい時間でもナンパとか色々あるじゃない?真緒を預かってる身としてはね。心配なのよ。」

「なる、そういうことね。おんぼろ車でよければどっかに行く?」

叔母さんの言葉に夏樹さんは嫌な顔一つしなかった。


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