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ひと夏の恋……そして……
第12章 成長とやさしさ

「ママ、苦しいよ~」

私の腕の中でジタバタともがく真和をお構いなしに抱きしめたあと、扇風機をつけて一緒に横になることにした。

「真和、ごめんね。いつも一緒にいてあげられなくて」

寝ころべば擦り寄ってくる真和が可哀想で声をかければ、真和は顔をあげてにっこりと微笑んだ。

「ママが忙しいのは暑い時だけだもんね。他の時はいっぱい遊んでくれるから平気だよ。それに僕は男の子だからね。平気だもん」

そう言いながら抱きついてくるのは寂しいからで、平気だもんと言わせているのが私だというのは分かっている。
分かっていても働いて稼がなければ生きてはいけない。
毎年のように悩む事で、悩んだところで解決策が見つかるわけでもなく現状は毎年変わらない。

「それにママが忙しいのは花火が上がるまでだもんね。明日も一緒に花火見れる?」

花火大会の意味を理解している真和は花火自体を喜んでいるけど、それ以上に店が暇になることも喜んでいて、寂しい思いをさせているのは明らかだった。


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