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ひと夏の恋……そして……
第12章 成長とやさしさ

「「「いただきます」」」

元気よく言葉にした真和は食べることなく私の方を見たままだった。

「きれいに書けてるから崩すのもったいないね」

せっかく真和が作ってくれたオムライス、そして文字が書いてあるから崩すのがもったいなくてスプーンを入れられなかった。

「え~~!きれいでも食べて!僕がつくったんだから」

真和が上げる不満に、朝と同じことを繰り返しているとおかしくなった。
真和が何かを作ってくれるたびに、食べるのがもったいなくて躊躇するんだろうと思いながらスプーンですくって口に運んだ。

「あっ!美味しい!真和、すごく美味しいよ」

卵はほんのりと甘く、半熟に仕上がっていて私が作るオムライスと変わらなかった。
ニンジンや玉ねぎが大きいのは真和が切ったからだと思うと、益々美味しく感じて自然と笑顔になる。

「やった!ママが美味しいって」

「今日は真和くんがんばったからね。朝ご飯も作って真和くんはえらい、えらい」

佐伯さんにも褒められて真和は上機嫌でオムライスを食べ始めた。


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