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ひと夏の恋……そして……
第12章 成長とやさしさ
「ちゃんと帰ってくるよ。」
「本当?」
私の胸から顔を上げた真和はいまだに涙をためている。
「うん。なつ兄ちゃん真和の事大好きだからね。お土産いっぱい買って帰ってくるよ」
私の言葉に納得してくれたのか、そのまま私にしがみついて眠った。
すっかり眠りに入った真和を確認して布団から抜け出し、帰ってきてからできなかったことを始めるとスマホのメロディーが鳴り出した。
その音が聞こえれば自然と笑みがこぼれる。
「もしもし、夏樹?」
『悪い。着信気が付くのが遅くなった』
声を聞けばますます頬は緩み、温かなものが心の中に広がった。
「大丈夫だよ。今日が同窓会だったよね。楽しんでる?」
『ああ、お酒が入ってるから超気分良い。やっぱり何年たっても学生の時の友達はいいもんだな』
いつもより声が高いのは本当に心から楽しんでいるから。
高校の時に友達がいなかった私にはその気持ちが分からなかったけど、夏樹が楽しいと声を弾ませるぐらいなら私も喜んであげたい。