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ひと夏の恋……そして……
第13章 私の心はどこに

「そうなんですね。友達は良いものですからね。―-真緒さん、今日も1時間程、お付き合い願えますか?」

海辺の方に手のひらを向けたので、昨日のように散歩をしようとのお誘いだと分かり直ぐに下に降りて行った。

「ですから急がなくても大丈夫ですよ」

息を弾ませて現れた私に、昨日と同じ言葉を投げかけられると笑うしかない。
苦笑いする私の腰に手を添えられた時は驚き、軽く押されれば自然と寄り添うように歩く事になった。
肩と肩が触れあうか触れ合わないかの微妙な距離は、触れ合うよりもドキドキする……

「あっ、今日は朝からありがとうございました」

今日は一度もお礼を言っていないことを思い出して口すると、佐伯さんはキョトンとした表情を私に見せる。
今まで見たことのない表情で、少し可愛いと思い頬が緩む私がいた。

「真和と一緒に食事を作っていただいたことですよ。私がすることを佐伯さんが真和としてくださって助かりました。真和も喜んでいましたし、私もうれしかったです。本当にありがとうございます」

私の言葉に意味を理解した佐伯さんはにっこりと笑う。
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