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ひと夏の恋……そして……
第13章 私の心はどこに
しばらく何も言わずに涙を流させてくれていた佐伯さんは、私の泣く声が小さくなったころ、彼の声が小さく耳に届いた。

「昨日も思いましたけど、星がキレイですよね」

それは違和感もなく、今まで私が泣いていた事実がなかったかのような静かな声だった。
その言葉につられて夜空を見上げれば、満点の空が広がっていた。
真和を産んで毎日が忙しくて夜空を見上げることもほとんどなくなり、久しぶりに見上げる夜空は佐伯さんの言うように綺麗に光り輝いていた。
あの時から変わらず光っているというのに、それすら忘れるほどの多忙な毎日。

「慣れって怖いですね」

「それはどういうことですか?」

ポツリとつぶやいた言葉に佐伯さんは首をかしげた。
その距離が近いことに気がついて急いで佐伯さんから距離をとれば、クスクスと笑われながら手を引かれ、流木に座って夜空を眺めた。
あれだけ恥ずかしい姿を見られているというのに、佐伯さんが普通に話してくれるから、私も普通に話すことができる。


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