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ひと夏の恋……そして……
第13章 私の心はどこに
「こんな素敵な星を見続けられる真緒さんがうらやましいです。私もこんな星空の元で暮らしてみたかった」
満天に輝く夜空を見ながらつぶやいた言葉と表情はどこか寂しく感じくぎ付けになる。
何も言葉にできずに佐伯さんの横顔を見つめたままでいると、フッと佐伯さんの頬が緩んだ。
「いろいろ見て回って、こんな素敵な場所が故郷ならいいと思ったんです。そう思っているとコンセプトが見えてきました」
「コンセプトですか?」
何の話をしているのか分からず、佐伯さんの言葉を繰り返すことしかできない。
「はい。コンセプトです。私みたいな田舎というものがない人間にとって、こんな素敵な島が故郷のように感じるリゾート地……いえ、そんな宿泊施設がある島にしたいと思ったんです」
佐伯さんの言葉でリゾート開発の事だとわかる。
一緒にいて楽しいから忘れてしまうことが多いけど、彼はそのために来た人。
ただ遊びに来ている人ではなかった。