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ひと夏の恋……そして……
第13章 私の心はどこに
「心安らげる場所。いつでも帰ってこられる場所。待っていてくれる人がいる場所……ただのリゾート地ならば夏だけ人で溢れかえり冬になれば閑散とする。それは今と何ら変わらない。一年中通して人で溢れかえる島にしたいのであれば別の方法を模索するしかない。この島の人たちは結束力が強い。そして何と言っても人がやさしい、親切。それが最大の武器だと感じました。いらっしゃいではなく、おかりなさい。そのおもてなしこそがリゾート開発のコンセプトかと、島内を見て回って思ったんです。これもすべて真緒さんのおかげですよ。真緒さんのおかげで、進むべき道が見えた気がしました」
私の方に視線を向けた佐伯さんはにっこりと微笑みながら、それでいて私を見つめる視線は力強かった。
あまりにも真剣に見つめられるから視線を海の方に逸らすと、また手を取られてしっかりと握られた。
そこから伝わるぬくもりに自然と笑みがこぼれる。
そして強く思う。
この人になら、この島の事を託すことができる、全てを預けて信用してもいいと。
それからお互いに何も話さず海を見続け時を過ごした。