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ひと夏の恋……そして……
第13章 私の心はどこに
「約束の1時間を超えてしまっていますね。真緒さんは明日も仕事でしょうから、そろそろ戻りましょうか?」
佐伯さんの言葉に時計を見てみれば2時を回っていて驚いた。
今日は真和と佐伯さんのおかげで身体を休めることができたけど、夜更かしは身体に悪い。
今日みたいに寝過ごすことがあってはいけないと戻ることにした。
先に立ち上がった佐伯さんが手を差し伸べてくれ、その手を躊躇することなく取れば、グッと引き起こしてくれた。
その反動でそのまま佐伯さんの腕の中に包まれた。
そして、佐伯さんは顔色一つ変えずに、私の手を握って歩き出した。
その手を振り払うこともできずに佐伯さんに手を握られたまま家に戻った。
「明日も……お誘いしていいですか?」
店に戻り、それぞれの部屋に戻ろうとした時、遠慮がちに佐伯さんは口を開いた。
その言葉を断る理由はない。
「はい。少しの時間でしたら」
「そうですね。1時間、それ以上はお引止めしませんから」
そう笑って店の二階に上がって行った――