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ひと夏の恋……そして……
第13章 私の心はどこに
「ずっと気になっていたんですけど、あの飾ってある絵ですが、あれはこの島のどこかの風景ですか?」
佐伯さんの視線の先には、この店に唯一飾ってある絵に向いていた。
それは和泉が書いた絵で、夕陽から満天の星空に代わる瞬間の絵だった。
和泉が私に唯一残してくれたモノ。
和泉がこの島にいたのだと証明する数少ないモノだった――
和泉を追いかけて港まで行ったあの日。
夏樹に送られて家に戻ると、裏口に置いてあったと叔母さんがあの絵を渡してくれた。
そこには短い文字が綴られている手紙が添えてあった。
『真緒に出会えて僕は幸せだった。
こんな僕と一緒に素敵な時間を過ごしてくれてありがとう。
そして、何も言わずに行くことを許してほしい』
と真っ青な海と同じ封筒に入っていた。
その手紙は、今は――……