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ひと夏の恋……そして……
第13章 私の心はどこに
『なぁ、真緒。帰ってきたらさ。あの場所に行かないか?』
「えっ?」
思いもよらない言葉に驚きの声を上げると、いつにも増して真剣な声音で話してくる。
だから自然と背筋が伸びて、聞き漏らさないように耳を傾ける。
『ずっと避けてきた場所だ。真緒が嫌な思いするなら近寄らない方が真緒のためだと思ってた。けど、違うんだよなって、最近思うようになったんだ――あの場所を辛い場所じゃなくて良い場所にしたいんだ。これから何度だって通る道だ。通るたびに辛い事を思い出すよりはいいだろう?それに、踏ん切りつけるには良いと機会だと思うんだ。5年も待ち続けたんだ。気持ちを切り替えるのは簡単な事じゃない事は良くわかってる。それでも俺と一緒になっても良いって言ってくれる真緒に俺ができることって、つらい過去から一緒に抜け出すことだと思ったんだ。だからあの場所から始めないか?あそこから俺と真緒の人生を始めたいんだ』
「夏樹……」
そこまで真剣に私のことを考えてくれているとは思わなかった。
こんなにも私を大事にしてくれているの私は……