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ひと夏の恋……そして……
第14章 花火大会と決意
「やっぱり、変ですよね」
「そんなことありませんから!!」
私の言葉に慌てた様子の佐伯さんは、私から目を背けて頭を掻きながらポツリと小さな声を発する。
「似合ってて……可愛いなと……思いまして……」
「かっ、かわいい?」
思ってもいない言葉に顔が真っ赤になり、私の方も佐伯さんから目を背けた。
お互いに照れているようで不思議な空間が広がった。
だけど、こんな空間を打破するのはひとりしかいない。
「ねぇ、千春兄ちゃん。僕の浴衣かっこいい?」
両手を広げて甚平姿を披露する姿に恥ずかしさも消えて、お互いに顔を見合わせて笑った。
「真和くんは何を着ても似合うね。いつにも増してかっこいいよ」
「本当?僕、かっこいい?」
「うん。とてもかっこいいよ」
佐伯さんの言葉にご満悦な真和は、私と佐伯さんの手を取って歩き出した。
花火が上がるまでは1時間。
人が多いといっても海岸は広いから、直前でも場所は確保できるからそれまで屋台を見て回ることにした。