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ひと夏の恋……そして……
第14章 花火大会と決意
佐伯さんの持つお椀の中には色とりどりの金魚が3匹、手に持っているポイは破けてはいない。
そのポイをクルクルとまわしながらしばらく水面を眺めていた佐伯さんは、ゆっくりと水の中にポイを沈め狙っている金魚の後ろをゆっくりと動かし、何か待っているかのように掬い上げることはしなかった。
じれったくみていると、次の瞬間には水を切るように動かし手首のスナップを効かせてポイッとお椀の中に入れた。
その一連の動作がスムーズで、真和とふたり声を上げることができなかった。

「兄ちゃん上手いね」

「いえ、これが限界ですね」

ポイを上げてくるくる回しながら出店のおじさんに渡した。
いつの間に破けたのか、穴が開いていて使えそうになかった。

「兄ちゃんなら後1・2匹すくえそうだけどな」

「そうですね。ですが4匹で十分ですよ。ありがとうございます」

ビニール袋に入れてもらった金魚を受け取りながらそんな会話をし、金魚を入れた袋を真和に渡してくれた。


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