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ひと夏の恋……そして……
第14章 花火大会と決意
「ちゃんと面倒みるんだよ。それが真和くんの仕事、分かった?」
「うん。僕が面倒みるよ。大きくなったら鯉さんになるかなぁ」
金魚イコール鯉と思っている真和に吹き出しそうになった。
それでも佐伯さんや出店のおじさんはにこやかに笑って、誰一人訂正することはない。
「鯉に成長したら見せにきてな。待ってんで」
その言葉に大きくうなずいた真和は佐伯さんと手をつないで歩き出した。
目の前に金魚の袋を上げて嬉しそうに眺め上機嫌で、名前をつけるんだと考えはじめた。
「金魚すくいお上手なんですね。びっくりしました」
「あれはコツがあるんですよ。それさえわかれば簡単にすくえると思いますよ。でも、取れなくて悔しがるのも金魚すくいの醍醐味ですからね。これか先、自分ですくえるようになった時の感激は一生ものだと思いますよ」
佐伯さんの言葉に納得する。
できないことができるようになる、それもひとつの成長で見ている私も楽しい。