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ひと夏の恋……そして……
第2章 逃げてきた場所
「ヒャッ!!」
いきなり首筋にひやりとする物を感じて流れていた涙も止まった。
何が起きたのかと顔を上げると、いつのまにか助手席の扉が開いて夏樹さんが立っていた。
そして、私の首筋に当たった物はコーラの缶だった。
「夏樹さん?」
驚く私に夏樹さんはにっこりと笑ってコーラを膝の上に置くと、運転席に回り乗り込むこともなく窓を閉めてエアコンが入った。
「砂浜にいるから、落ち着いたら出てこいよ」
それだけ告げるとドアを閉めて砂浜に降りていった。
その姿をみながら嫌われていなかったとのだとホッとし、それとは別に心はときめいていた。
こんな気持ちは初めてで、これが何なのか知らないし分からない。
ただ、もっと夏樹さんのことを知りたいと思ったし、もっと仲良くなりたいとも思っていた。
暫く夏樹さんを見ていると、夏樹さんは時折私の方を見ては海を眺めて私のことを気にかけている感じがした。
そして、まだ私は嫌われていない……そう思えることが何よりもうれしかった。