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ひと夏の恋……そして……
第2章 逃げてきた場所
夏樹さんの姿を目で追っていると、外は段々と夕日に包まれ朱く染まっていく。
あまり待たせてはいけないと思い外に出ると、昼とは違って涼しい自然の風が吹き抜けていた。
その風にあたりながら砂浜に降り立ち夏樹さんを探すと、少し離れたところで夕日を眺めていた。
今にも沈みそうな太陽に照らされた夏樹さんのシルエットはテレビの中の一コマのようにきれいで目を奪われた。
そのシルエットはゆっくりと振り返り笑った……と思う。
太陽の光で夏樹さんの表情は見えなかったけど、私の知っている夏樹さんなら優しい表情で笑っていると思う。

「おいで、一緒に見よう!!」

手を差し伸べられてもその手を取ることができずに立ち尽くしていると、夏樹さんはゆっくりと歩いて私の目の前で立ち止まった。

「この島の一番の神秘を見せてやるよ」

そう言いながら夏樹さんの手が私の掌と重なり、初めて会った時のように握りしめられた。
恥ずかしくて下を向いていると、海を見てと言われ視線を向けると、目の前に広がる光景に言葉を失った。


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